食品ブランド育成術シリーズ 第四話:「圧倒的に売れる」商品をつくれ
前回のロードマップに続き、今回は商品企画そのものについてお伝えします。
「圧倒的に売れる」とはどういうことか。そのパターンは無限ではなく、有限です。
「同じ製品でも、商品企画のしかた次第では売れていなかったはず」という商品があります。その商品をブーストしている「ボーナス」を捉えることが、商品企画の出発点です。
この段階の商品企画はほとんどが仮説ですが、非常に本質的な考え方です。市場・競合調査の前に、まず「ボーナス」の仮説を立てることから始めてください。
また、「製品」と「商品」を分けて考えることも重要です。製品はその機能や品質そのものを指しますが、商品とはそこに付加価値・文脈・顧客体験が加わったものです。同じ製品でも商品企画しだいで、まったく異なる売れ方をします。
新規集客・リピートのそれぞれのフェーズで苦戦するポイントは異なるため、それぞれに「勝ちパターン」を考えておくことも大切です。
ボーナスパターンとは
ボーナスのパターンをいくつかご紹介します。これらを仮抑えしたうえで、市場・競合調査に入るのが正しい順序です。
調査から答えを出すように見えるコンサルティングも、インタビュー段階からすでに複数の仮説を携えたうえで調査に臨んでいます。
専門化ボーナス
「食品ECのコンサルティングに専門化しています」という人は、一般的なECコンサルタントよりも当然に有利です。
「〇〇専門店」というのは、商品の魅力をブーストする強力なアイテムです。
あらゆる場合でこのボーナスを考えてください。
- 目標達成時に日本一だと言えそうなこと
- 今すぐ日本一だと言えること
- 目標達成のために、日本一をアプローチしたい対象
この3つを行ったり来たりしながら、繰り返し考えることが重要です。
自分ごと化ボーナス
肉として売るより、「バーベキュー専用の肉」として売り、さらにバーベキューに便利な皿も一緒に揃えると、粗利率を高めやすくなります。
このように、用途や客層を細分化し、その用途・客層に寄り添った付加価値を提供することを「自分ごと化ボーナス」と呼んでいます。
自分ごと化ボーナスにおいて専門化する場合もあります。例)バーベキュー専門店(肉以外も売りやすくなる)
ある食品が「詫びスイーツ」と表現されたことがありますが、これは自分ごと化ボーナスの非常に上手い活用例です。
サブスクボーナス
日常的に購入したい商品は、サブスクを強化すべきです。
サブスクは売り手が遠慮しているケースも多いですが、「毎月届く」という体験自体が立派な価値です。基本的にはサブスクを実施することをおすすめします。頒布会もサブスクの一種ですが、どちらかというとリピーター向けの施策に位置づけられます。
かわいい・おしゃれ・新しいボーナス
シンプルに聞こえるかもしれませんが、「かわいい・おしゃれ・新しい」は、商品のブーストとして非常に強力です。
パッケージデザインだけでなく、商品そのもの(肉を使ったスイーツ・スープ・高級レトルトなど)で実践している事例も多くあります。
サブスクや後述する非日常ギフトとの相性も抜群です。
非日常ご褒美ギフトボーナス
非日常感・ご褒美・ギフトはセットで考えると効果的で、サブスクとは対極的な位置づけです。食べ比べや情報コンテンツとの相性も優れています。
特に父の日・母の日・誕生日のシーンは有利ですので、ぜひ取り組んでおきたいところです。
健康ボーナス
糖質OFF・複数種の栄養が取れる・グルテンフリーなどが代表的です。
アレルギーを持つ人口など、マーケットのボリュームを推定しやすいことが特徴です。商材ジャンルのボリュームに掛け算して市場規模を推定することをおすすめします。
情報コンテンツボーナス
基本的に男性向け(買い手・もらい手)、高級品、ギフトとの相性が良いボーナスです。「うんちくを語りたい系」の方に特に刺さります。
高級ボーナス
高級と最高級では意味合いが異なりますが、最高級品のラインナップを揃えることが必要です。
これは「ハイイメージ付き大衆商法」とも言えます。高級ブランドの最高峰モデルを買う人の客単価は大きいですが、それ以上にそのブランドに憧れて購入するマス層の売上の方がはるかに大きいのです。
プレミアムボーナス
これは作戦というより、適切な露出活動と適切な限定感を出すことで自然と得られるボーナスです。
プレミアムボーナス = 露出量 ÷ 流通量
流通量が大きくても露出量がさらに莫大であれば、プレミアムボーナスを享受できることは歴史が証明しています。逆に、流通量が極端に少ないハイブランドでも、ごく一部の界隈に知れ渡るだけで発揮します。
ハイブランドにとって認知型広告費は原価のようなものです。
カリスマ・思想ボーナス
ヴィーガンのような価値観・思想に基づく購買行動も、ボーナスのひとつです。自分ごと化ボーナスの一種とも言えます。
縁起ボーナス
情報コンテンツボーナスと非日常ご褒美ギフトボーナスの中間に位置するボーナスです。縁起物の食品は、ギフトシーンとの相性が特に良いです。
「親は2人の法則」—ボーナスを掛け合わせる
専門化ボーナス以外から2つを選び、組み合わせを洗い出すことをおすすめします。
音楽に例えると、多くの場合、2つのジャンルが合流することで新しい音楽が生まれます。私自身、かつてオリジナルバンドで音楽活動をしていましたが、3つのジャンルをかけ合わせたバンドは、どこかちぐはぐに感じることが多いものです。組み合わせは2つまでが基本です。これを「親は2人の法則」と呼んでいます。
ただし、2つが合流して一定のマス層に受け入れられれば、3つ目の要素も成り立つようになります。
例)「高級 × 食パン専門店」が一定規模で定着した商圏では、「高級 × 食パン × 糖質OFF専門店」も受け入れられやすくなります。
食品ブランドの自己紹介でも、2つのキャラクターまでを意識してください。
なお、ページに記載するコンテンツとしては、多くのボーナスを散りばめても構いません。人によって刺さるポイントは異なるため、購入意欲を高める可能性があるコンテンツは多めに用意することも有効です。それはまた別のフェーズで考えます。
2つを掛け合わせたあとは、専門化ボーナスを活用してください。
圧倒的な差別化のために、「今すぐ1位と言える小さなカテゴリー」を決めることが重要です。そのカテゴリーは駆け上がることもできるため、極端に小さくても構いません。全国で1〜10万人に刺さる人がいれば十分です。
まとめ
- 付加価値にはボーナスパターンという有限の型があります
- ボーナスを2つ掛け合わせる「親は2人の法則」で商品企画を整理する
- そこに専門化ボーナスを組み合わせ、「今すぐ1位と言える小さなカテゴリー」を決める
自分で客観視することは難しいため、必ず強く意見してくれる第三者を交えて議論することをおすすめします。
次回予告:5分でできる To Do
<To Do> ボーナスを2つ掛け合わせてできる、自社の最強商品の企画案を3つ洗い出してみてください。
食品ブランド育成術シリーズ 第五話:商品(仮)が最強か、調べ尽くせ(近日公開)
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