食品ブランド育成術シリーズ 第十二話:商品(仮)が最強か、調べ尽くせ⑧ 届ける対象と同じ対象にアプローチするライバルはいるか?
前回の第十一話では、「今すぐ一位と名乗れる軸」のライバルを再確認しました。品揃えの数という、揺るがせてはいけないポイントを先に固めました。今回は、第十話で定めたターゲット——「自身も湯葉好きで、湯葉が美味しいという話で盛り上がったことがあり、ご進物用に何かを探している人」——に対して、同じ客層を取り合うライバルがいないかを確認していきます。少し複雑になりますが、丁寧に解説します。
仮の企画は引き続き以下を題材にします。
▶ 仮の企画:贈答用・高級乾燥湯葉専門店のECブランド(乾燥ゆばセットを入口商品とする)
自社の商品(仮)が最強かチェックするための10個の問い(おさらい)
このシリーズでは、以下の10個の問いに沿って自社商品の可能性を検証しています。
- 自社の商品(仮)は必要とされているか?
- 自社の商品は競合に負けていないか?
- 自社の商品の真似できない理由は何か?
- 自社の数値目標達成のために、どのジャンルで1位を目指すのが適切か?
- 自社が今すぐ全国一位と呼べるのは、何か?
- その今すぐ呼べる全国一位を携えて、これから誰に届けるか?
- 今すぐ呼べる全国一位のライバルはいるか?
- 届ける対象と同じ対象にアプローチするライバルはいるか? ← 今回はここ
- 今のジャンル一位ライバルは?
- ライバルに負けないか?
ここでは、何を持ってライバルとするのか
今回は「専門性」を競うわけではありません。専門性とは言い換えれば、キャラクター・個性・ポジションです。
今回の視点は違います。
「初めての顧客がライバルと自社の入口商品を見たとき、どちらから買うか」——これを競う視点です。これは戦術フェーズ(入口商品の詳細を決めるステップ)で最も重要になる観点です。
クラスで例えるなら、「誰に人気になりたいか、モテたいか」が被っているライバル
少し遠回りに聞こえますが、この視点を掴むために「クラスの例え」を使います。
モテたい男の子のロードマップ
モテたい男の子がいるとします。
事業で言えば、まず「どれくらいモテたいか」という数値目標を先に決めます。目標達成時に「クラスで一番モテている」としましょう。すると、今クラスで一番の人が「目標競合」になります。
次に、「今すぐ言える自分の1位」を探します。クラスに面白いキャラがいないなら、「クラスで一番面白い」というポジションを取りにいきます。これが今すぐ言える1位・キャラクター・専門性・差別化です。
「面白キャラ」として認知されるには、笑いの引き出しを増やし、ユーモアへの投資を惜しまないアプローチが必要になります。
ただし、「面白いことが好き」な女の子の分母が重要です。確認してみると、面白い男の子が好きという女の子がクラスの3割いた——これなら目標競合に勝てます。これが、尖ったポジションに顧客がいないという事態を防ぐための市場リサーチです。
しかし、ここで終えてはいけない、というのがまさに今回の話です。
その「面白い男の子」が、別のクラス、別の学年、別の学校、あるいはテレビのスターにもいるかもしれません。ターゲットの女の子次第では、テレビのスターですら競合になり得ます。
これは、カテゴリー(食品で言う製品ジャンル)が近いほど、致命的な競合になり得ます。だからこそ、ターゲットの女の子の視座で、同じ女の子を取り合う可能性があるライバルをチェックする必要があるのです。
このターゲットの視座は、今後のステップでも何度も登場します。というのも、「面白い」だけが評価項目ではなく、最低限のラインとして「清潔感」のような努力できる指標も影響するからです。食品で言えば商品設計の段階で詰めていく部分です。
そして晴れて目標1位となれば、「〇〇クラスで一番モテている」という新しいキャラクター(いわば肩書き)を冠して、次の目標へと進んでいくことができます。
「ご進物 〇〇」で近いところから検索する
実際に「ご進物」に関連するキーワードで検索してみましょう。
サジェストキーワードも参考になります。「ご進物 読み方」「ご進物 のし」「ご進物 贈答 違い」など、言葉の意味を調べている検索が目立ちます。これは「ご進物」という言葉に不慣れなユーザーが一定数いることを示しています。
表記ゆれも要チェックです。「御進物」「御進物品」など、検索する人によって表記が異なります。
検索結果を見ると、SEOを意識した解説ブログが上位に来ていることに気づきます。ギフト・贈答の専門メディアや百貨店系のコンテンツが多く見受けられます。
楽天市場から百貨店のページへと誘導される流れが多いことも特徴です。これは「ご進物」を検索している人が比較的購買力のある層であることを示しています。
楽天市場内で「ご進物」を検索すると、線香・お線香が圧倒的に多く表示されます。これは「ご進物」という言葉が、弔事・法要関連の贈り物に用いられる割合が高まっていることの現れかもしれません。
「ご進物」という言葉の変化——AIに聞いてみる
この点をAIに問い合わせてみました。
「ご進物」という言葉の使われ方は近年変化していますか?弔事の比率は高まっていますか?
AIの回答:
「ご進物」という言葉は従来、贈答品全般を指す丁寧な表現として用いられてきました。しかし近年、贈答文化のカジュアル化が進む中で、日常的なプレゼントには「ギフト」「贈り物」が多用されるようになりました。一方で「ご進物」は、格式や礼儀を重んじる場面——特に弔事に関連する贈り物——に使われる傾向が強まっていると考えられます。現代における使い分けの傾向:
- ギフト/贈り物:誕生日や記念日など、カジュアルな贈答
- ご進物:香典返しや法要の引き出物など、弔事関連の贈答
このような使い分けは、贈答文化の変化や言葉のニュアンスの変遷によるものと考えられます。ただし地域や個人の価値観によっても異なるため、一概には言えません。
この回答は重要な示唆を与えてくれます。「ご進物」を入口にするなら、慶事・弔事どちらのニーズを主に取り込むかを意識する必要があります。
結論——思わぬライバルが見えてきた
検索を続けると、意外なライバルが浮かび上がってきます。
例えば、「ご進物」というキーワードで上位表示されているのは、京都発の有名なお米・ギフト専門ブランドです。自社サイトのトップページで「ご進物」という言葉を前面に出していなくても、用途別コンテンツを充実させているため、検索結果で上位に来ています。
湯葉ブランドとは全くジャンルが異なりますが、「ご進物を探している人」という同じターゲット顧客を取り合う関係になり得るのです。
また、楽天市場で上位に来ている線香も、ある意味でのライバルです。ただし、こちらは協業の可能性もあります(湯葉と線香のセット商品として贈答用に展開するなど)。
食品の売り手でも、「ご進物」と検索する人・ネットショップで購入する人にも詳しくなる
AIがいくら発達しても、食品企業が多くを外注する時代になっても、売り手として必ず内製化しておくべき機能があります。
- 自社商品をどうするか(社内事情含め)
- 自社の顧客に詳しいこと
- 自社商品の売り方に詳しいこと
この3つは外注できません。だからこそ、自社の顧客にとことん詳しくなることが重要です。
「ご進物」を検索する人がどんな人で、何を考えて、どう購入を決めるのかを、売り手として誰よりも深く理解することがブランドの根幹になります。
まとめ
今回はあっさりとした調査でしたが、ブランドの外観はほぼ見えてきました。
入口商品の細部はまだ決めていないため、ライバルの中身をじっくり確認するフェーズではありません。ターゲットの顧客を想像しながら、顧客の目を自分の目にインストールしていくフェーズです。
「ターゲットを設定しろ」「顧客満足を考えろ」「ライバルを見ろ」——3C・STPなど、語り尽くされたフレームワークがあります。しかし実際にやってみると、非常に複雑でアウトプットが難しいと感じるはずです。
ぜひ実際に試してみてください。そして必ず、どこかでアウトプットしてください。
短く言えたり、長く言えたり、アウトプットのボリュームを自在にコントロールできることが、真の理解の証です。3Cと口では言っていても、実際に実施して複雑さを体験し、コンパクトに言語化できる人はほんの一握りです。
突き詰めると、シンプルな問いに戻ってきます。「今すぐ言える1位」に覚悟を決めること——それが最も重要です。
次回予告
食品ブランド育成術シリーズ 第十三話:商品(仮)が最強か、調べ尽くせ⑨ 今のジャンル一位ライバルは?
5分でできる To Do
- 食品以外のジャンルで、自社と同じターゲットにアプローチするライバルを1社探してみましょう
ターゲット視点のホームページ設計は、JOSデザインにご相談ください
「誰に届けるか」が明確になったら、その顧客の視点で設計されたウェブサイトが必要です。株式会社ジャッジのホームページ制作サービス「JOSデザイン」では、食品・地方企業・中小企業に特化したサイト制作をご提供しています。ターゲット設定からコンテンツ設計・デザイン・実装まで、一貫してサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
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