食品ブランド育成術シリーズ 第八話:商品(仮)が最強か、調べ尽くせ④ 自社の数値目標達成のために、どのジャンルで1位を目指すのが適切か?
前回の第七話では、自社の商品が真似されにくい理由を洗い出しました。ブランドの差別化要因の源泉が整理されたところで、今回はいよいよ核心に入ります。「目標年商を達成したとき、何のジャンルで1位と呼べるか」を仮決定するフェーズです。
仮の企画は引き続き以下を題材にします。
▶ 仮の企画:贈答用・高級乾燥湯葉専門店のECブランド(乾燥ゆばセットを入口商品とする)
自社の商品(仮)が最強かチェックするための10個の問い(おさらい)
このシリーズでは、以下の10個の問いに沿って自社商品の可能性を丁寧に検証しています。
- 自社の商品(仮)は必要とされているか?
- 自社の商品は競合に負けていないか?
- 自社の商品の真似できない理由は何か?
- 自社の数値目標達成のために、どのジャンルで1位を目指すのが適切か? ← 今回はここ
- 自社が今すぐ全国一位と呼べるのは、何か?
- その今すぐ呼べる全国一位を携えて、これから誰に届けるか?
- 今すぐ呼べる全国一位のライバルはいるか?
- 届ける対象と同じ対象にアプローチするライバルはいるか?
- 今のジャンル一位ライバルは?
- ライバルに負けないか?
できるだけ一般的なカテゴリーで「〇〇で1位」のECを洗い出す
今回の仮の企画「贈答用・高級乾燥湯葉専門店のECブランド」を起点に、製品カテゴリーを基準に絞り込んでいきます。
最も一般的なカテゴリーから順に候補を並べると、以下のようになります。
- ゆばECで1位(最もボリュームが大きい)
- 乾燥ゆばECで1位(「乾燥・干しゆば」に専門化しているところ)
- 高級ゆばECで1位(「高級・プレミアム」を打ち出しているところ)
- 贈答用ゆばECで1位(「ギフト・贈答」に特化しているところ)
売上の予測が立てづらい場合は、2つのカテゴリーを候補に持っておいても問題ありません。
また実際には、ブランドイメージ・素材の産地・地域名(例:京都湯葉など)も1位を決める重要な軸となります。ただし今回の仮の企画では、京都産ではないという設定で進めます。
調査の基本的な進め方
Google検索と楽天市場(標準並び替え・レビュー数順)で、それぞれ上位に出てくるショップや商品を洗い出します。広告を出しているショップも参考として確認しておきましょう。
なかなかECショップが出てこない場合は、「湯葉」と「ゆば」の表記ゆれに注意しながら、「お取り寄せ」「ギフト」「プレゼント」「贈り物」などのキーワードを後ろに追加して検索してみましょう。
ゆばEC 1番店(検索順位1位)
Google自然検索結果1位
京都系の老舗ゆば専門ショップが上位を獲得する傾向があります。「京ゆば」を前面に打ち出し、生ゆば・乾燥ゆば・贈答ギフトを幅広くラインナップしているショップです。京都のブランド力と老舗の信頼感が検索順位にも反映されていると言えます。
Google広告1位
京都系の老舗ゆば専門ブランドが広告出稿している例が見られます。
楽天市場自然検索結果1位
低価格帯の「生湯葉お試しセット」型商品が上位を獲得しやすい傾向があります。汲み上げ湯葉・たぐり湯葉の食べ比べセット・送料無料といった訴求で、高級感よりもボリューム・コストパフォーマンスを重視したアプローチです。
楽天市場RPP広告1位
国産大豆100%・井戸水仕込みを訴求する「生ゆばお試しセット」が目立ちます。「赤字覚悟でご提供」という打ち出し方からも、価格競争型の広告出稿と見られます。
楽天市場レビュー数順1位
湯葉単体の専門ショップではなく、とうふや湯葉・麩・しゅうまいなどを幅広く扱う大手料亭系の食品ブランドが上位に来ることがあります。湯葉専門としての評価ではなく、ブランド力と品揃えの広さによって積み上がったレビュー数と言えるでしょう。
乾燥ゆばEC(専門と言っているところ)1番店(検索順位1位)
Google自然検索結果1位
「乾燥ゆば専門」と明確に打ち出しているショップは見当たりませんでした。専門店の空白地帯とも言えます。そのため、商品競合として京都系の老舗ゆばショップが乾燥ゆば商品のページで上位を取っている状況です。
Google広告1位
広告出稿自体が少なく、乾燥ゆば専門の広告は確認できませんでした。
楽天市場自然検索・レビュー数順1位
「訳あり・割れゆば(乾燥ゆば)」のお試し商品が自然検索・レビュー数ともに上位を獲得しています。楽天週間ランキング1位獲得・送料無料・無添加・国産大豆100%という訴求で、低価格のお試し商品として人気です。
楽天市場RPP広告1位
大容量・国産大豆100%・長期保存・業務用・お得という訴求の商品が広告枠に出ています。こちらも高級・贈答とは異なる方向性です。
高級ゆばEC(専門と言っているところ)1番店(検索順位1位)
Google自然検索結果1位
自ら「高級専門」と名乗っているショップは見当たりませんでしたが、安価な商品が見当たらず、Googleが「高級ゆば」の検索で上位に表示していることから、実質的に高級ゆば専門と捉えられるショップが存在します。
ここで重要な視点をお伝えします。業界的な慣習や謙遜から、「高級専門」と明言しにくい場合もあります。しかし、ハイブランドとしての見せ方・演出をすることは、高級専門化において欠かせない要素です。もともと高付加価値の商材でも、さらにプレミアムなコンセプトを重ねてうまくいくブランドは確かに存在します。
楽天市場での状況
楽天市場では、「生ゆばギフトセット・国産大豆100%・送料無料」を訴求するショップが目立ちますが、広告文に「赤字覚悟でご提供」という文言が見られるなど、高級感の演出は薄い印象です。
楽天市場において、高級感があり20件以上のレビューが付いた湯葉商品は見当たりませんでした。これは「高級ゆばEC」の市場が未開拓である、ともポジティブに読み取れます。
贈答用ゆばEC(専門と言っているところ)1番店(検索順位1位)
Google自然検索結果1位
「京ゆばギフトのネットショップ」として展開する京都系の老舗ゆばショップが上位を占めています。生ゆば・乾燥ゆば・贈答ギフトを幅広くラインナップしており、贈答1番店として実質的な地位を持っています。
Google広告1位
贈答専門ではないものの、母の日フェアなどシーズン訴求で広告出稿しているショップが見られます。
楽天市場自然検索1位
「生ゆば2種の詰め合わせ・化粧箱入り・国産大豆100%・保存料無添加」といった贈答向け商品が上位に来ます。
楽天市場RPP広告・レビュー数順1位
「生ゆばギフトセット・とろける生ゆば・国産大豆100%・送料無料」を訴求するショップが広告・レビュー数順ともに上位に来ています。
年商1億円達成時に「何で1位」と言えるか、考えておく
洗い出したカテゴリーの1位候補をもとに、「年商1億円を達成したとき、自分たちは何で1位と言えるか」を仮決定します。最も嬉しいのは「ゆばEC全体で1位」ですが、まずは戦えるカテゴリーから狙うことが現実的です。
ひとつ重要なポイントをお伝えします。自分たちが専門化するカテゴリーにかかわらず、より上位カテゴリーの1位も洗い出しておいてください。
例えば「贈答用に特化する」と決めても、そのカテゴリー1位を取るためには、生ゆばも扱う競合と向き合わなければならない場面が出てきます。
「遠くのターゲット」を狙うことで市場を創る
ここで、架空の事例で考えてみましょう。
福岡県でまだ1位ではないラーメン屋が、名物の辛い博多ラーメンを武器に専門化し、韓国に出店して「韓国人好みの辛い博多ラーメン」として韓国1位になったとします。3年後には「辛い博多ラーメン日本一の販売量」として全国展開の奇襲をかけられます。
ECの場合、出店に伴う移動コストも少なく、失敗リスクも非常に低くなります。遠くのターゲットを狙うことで、実質的な市場創出の動きが取れるのです。
「母の日ギフト」という訴求軸は、製品ジャンルに縛られないニーズを獲得する典型的な例です。「高級乾燥湯葉の贈り物」という枠を超えた打ち出し方が、新たな市場を開拓することにもつながります。
まとめ
「力相応の一番化」を進めるうえで、3CやSTPなどのフレームワークが参照されますが、どれを使っても「市場・競合・自社」という3つの軸が繰り返し登場します。
- どういう意味での競合なのか?
- どこで、何に勝たなければならないのか?
- 誰に選ばれるのか?
- 自社の強みとは何か?
- 何を踏まえて、何をすればよいのか?
無限に考えられますが、この3つの軸に整理しながら進めていくことが大切です。
次回予告
食品ブランド育成術シリーズ 第九話:商品(仮)が最強か、調べ尽くせ⑤ 自社が今すぐ全国一位と呼べるのは、何か?
5分でできる To Do
- Google検索でトップに出てくるゆばECサイトをブックマークに保存してみましょう
- 「ゆば」「湯葉」の表記ゆれも含め、複数のカテゴリーワード(生ゆば・乾燥ゆば・贈答用)で検索し、それぞれの上位ショップの傾向を観察してみましょう
ブランド戦略をホームページで正しく体現できていますか?
「どのジャンルで1位を目指すか」が定まったら、次はそのポジションをウェブサイトで明確に伝えることが必要です。株式会社ジャッジのホームページ制作サービス「JOSデザイン」では、食品・地方企業・中小企業に特化したサイト制作をご提供しています。ブランドの方向性の整理からデザイン・実装まで、一貫してサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
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