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これまで20以上のECブランドを新規立ち上げした食品ブランドの専門家が思う、食品業界における「自社EC」と「モールEC」

食品業界のEC支援をしていると、よく出てくるテーマがあります。

「自社ECを伸ばすべきか」
「楽天・Amazon・Yahoo!などのモールECを伸ばすべきか」

という話です。

自社ECを推奨する方の中には、「脱モール依存」を強く提唱される場合もあります。

ただし、ここには少し注意が必要です。

モールにはモールのルールがあり、運営側との関係性もあります。そのため、表現や提案の仕方によっては、運営側から指摘を受けることがあります。

とはいえ、今回お伝えしたいのは、そうした細かい話だけではありません。

食品業界の現場では、モールECに依存しすぎた結果、大きな赤字を出してしまい、経営者がECそのものに苦手意識を持ってしまうケースがあります。

一方で、自社ECも簡単ではありません。

特に、全国的にまだ知られていない食品会社が新しくブランドを立ち上げる場合、自社ECは短期的な販促効率がかなり悪くなりやすいです。広告をかけても、すぐに売上につながらない。ROASも低く、短期では赤字になりやすいです。

そのため、赤字が出るとすぐに撤退してしまう会社も少なくありません。

ただ、モールECほど「EC全体に対する強いアレルギー」になりにくい印象もあります。モールの場合は、出店費用・広告費・販促費・固定費などが重なり、「こんなにお金をかけたのに利益が出なかった」という記憶が強く残りやすいからです。

1年で見るなら、モールECが最適解になりやすい

全国で無名の会社が新規ブランドを立ち上げる場合、1年間のコストパフォーマンスだけで考えると、モールECが最適解になりやすいです。

理由はシンプルです。モールには、すでに人が集まっているからです。

  • 楽天には楽天のユーザーがいます
  • AmazonにはAmazonのユーザーがいます
  • Yahoo!ショッピングにはYahoo!のユーザーがいます

つまり、最初から一定の「買う気がある人」が存在しています。

自社ECの場合は、まずサイトを作り、商品を知ってもらい、信頼してもらい、購入してもらう必要があります。この流れをゼロから作るため、最初の販促効率はどうしても悪くなりやすいです。

3年以上で見るなら、自社ECが有利になりやすい

ただし、3年以上の視点で見ると、話は変わります。長期的な収益性で見ると、自社ECの方が有利になりやすいです。

自社ECは、利益率を高めやすく、顧客情報も蓄積できます。リピート施策・メール施策・同梱物・LINE・定期便・会員制度などを組み合わせることで、少しずつ利益の柱を作ることができます。

だから私は、自社ECを考えるときには、よく「3年以上の計画が必要です」とお伝えしています。

5年・6年の計画を細かい行動計画まで落とし込むのは難しいです。しかし、3段階くらいなら、人間は比較的イメージしやすいものです。

ホップ・ステップ・ジャンプ。

  1. まずは認知を作る
  2. 次にリピートを作る
  3. 最後に利益の柱にする

このくらいの段階設計が、自社ECには必要です。

食品業界における「自社EC」と「モールEC」の比較

項目自社ECモールEC
長期的な収益性高いです。営業利益率15%程度を狙いやすく、リピート注文も増やしやすいです。決済手数料も比較的安く抑えやすいです。低くなりやすいです。営業利益率5%程度になることもあります。自社ECで15%を出せる場合でも、モールでは利益が圧縮されやすいです。
出店後すぐの収益性低いです。販促投資が必要不可欠なため、赤字計画を組む必要があります。並です。出店直後から限界利益の収益化ができる場合もあります。
その他変動費安いです。基本的には決済手数料のみで、3〜5%程度に収まることが多いです。高いです。10〜30%程度になることもあります。大手モールは費用がわかりにくく、細かい費用を合計すると12〜15%に収まることが多いです。
その他固定費並です。カートシステムの月額費用は、オプション料金込みで0〜1万円・2〜3万円・6〜8万円など幅があります。月商が大きくなると、固定費の負担感は相対的に小さくなります。不明瞭になりやすいです。大手モールでは月3〜10万円ほどかかることがあります。固定費だけでなく変動費も含めて損益分岐点をざっくりでも計算しておくべきです。
攻略ステップ名簿を集めて、リピートを増やします。LTVとCPOを見ながら、名簿数を増やしていくことが重要です。検索順位を上げて、広告外売上を増やします。販促比率20%未満で検索順位1位に安定する商品数を増やしていくことが重要です。
出店する意味安定した収益の柱を構築したい場合に向いています。ブランディングとして認知を広めたい場合、社員の生産性を高めたい場合にも有効です。ポイント商圏を超えない顧客を獲得できます。自社ECを立ち上げた直後の営業赤字を薄める役割もあります。また、自社ECの集客経路としても活用できます。
難所立ち上げが難航しやすいです。専門家を活用しなければ、ほぼ確実に失敗しやすいです。集客初期のCPOが高くなりすぎると、最初の顧客獲得だけで大きな赤字になることもあります。モール担当者との関係が良くないと進めにくいです。コツコツとした作業を行う担当者がいない場合、非常に伸ばしづらいです。受注管理の一元化システムが必要になる場面もあります。
SEO対策としてブログを100記事書く・SNS運用をするなど、古い施策に頼りすぎることです。「ブランディング」は美しく聞こえますが、本質は「まず投資回収できるアクセスを踏む」ことです。半額セールや特集広告に依存しすぎることです。割引時・通常時・広告利用時の純利益計算を行い、原材料費から発送料・人件費・広告費まで計算しておくべきです。
例外的な判断ポイント定期頒布プランを立ち上げる戦略や、一定数の顧客を獲得してから自社ECを伸ばす戦略です。賞味期限が1ヶ月未満の商品は定期便との相性が良いこともあります。ニーズが多い定番商品で、どの店舗よりも安い場合はモールの方が伸びやすいです。自社サイトは淡々と作り、モールほど販促費をかけない設計も有効です。

結局は「自社EC VS モールEC」ではなく、バランスの問題

結局のところ、自社ECとモールECは、どちらか一方だけを選ぶものではありません。大切なのは、バランスです。

モールECは、一定の割合で活用すべきです。なぜなら、Webがいくら全国商圏だとしても、実際には「ポイント商圏」が存在するからです。

  • 楽天をよく使う方は、楽天ポイントを貯めたいと思っています
  • Amazonをよく使う方は、Amazonで買いたいと思っています
  • Yahoo!をよく使う方は、PayPayなどの経済圏の中で買いたいと思っています

貯まるポイントは、できれば一箇所に集めたいものです。この「ポイント商圏」を乗り越えるコストは、意外と高いです。そのため、自社ECだけで無理をするよりも、モールECをうまく使った方がよい場面があります。

自社ECは「利益の柱」、モールECは「入口」として考える

私は、自社ECとモールECを対立構造で見るよりも、役割で分けて考えた方が良いと思っています。

  • 自社EC:長期的な利益の柱
  • モールEC:短期的な売上獲得・ポイント商圏の顧客接点

食品業界のECでは、商品力だけでは勝ちきれません。

  • 商品力をどう見せるか
  • どこで売るか
  • どの順番で投資するか
  • どの段階で利益を取りにいくか

この設計が必要です。

短期ではモールEC。中長期では自社EC。そして最終的には、自社ECを中心に利益の柱を作りながら、モールECを入口として活用する。

このくらいのバランスが、食品業界のECには現実的だと思います。


食品会社・地域企業のホームページ制作について

自社ECを立ち上げる際には、ブランドの世界観を伝えるコーポレートサイト・ランディングページの設計も重要です。ジャッジでは、食品会社・地域企業のホームページ制作(JOSデザイン)を手がけています。商品の魅力を正しく伝えるサイト設計を、現場ヒアリングから一緒に考えます。

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