食品ブランド育成術シリーズ 第九話:商品(仮)が最強か、調べ尽くせ⑤ 自社が今すぐ全国一位と呼べるのは、何か?
前回の第八話では、目標年商達成時に「何のジャンルで1位と呼べるか」を仮決定しました。今回は視点を変えて、今この瞬間すでに1位と呼べるものを探し、その中で最良のものを仮決定していくフェーズに入ります。
あくまで「仮」です。まずは決めてみることが重要です。
仮の企画は引き続き以下を題材にします。
▶ 仮の企画:贈答用・高級乾燥湯葉専門店のECブランド(乾燥ゆばセットを入口商品とする)
自社の商品(仮)が最強かチェックするための10個の問い(おさらい)
このシリーズでは、以下の10個の問いに沿って自社商品の可能性を丁寧に検証しています。
- 自社の商品(仮)は必要とされているか?
- 自社の商品は競合に負けていないか?
- 自社の商品の真似できない理由は何か?
- 自社の数値目標達成のために、どのジャンルで1位を目指すのが適切か?
- 自社が今すぐ全国一位と呼べるのは、何か? ← 今回はここ
- その今すぐ呼べる全国一位を携えて、これから誰に届けるか?
- 今すぐ呼べる全国一位のライバルはいるか?
- 届ける対象と同じ対象にアプローチするライバルはいるか?
- 今のジャンル一位ライバルは?
- ライバルに負けないか?
自社の商品を真似できない理由を振り返る
第七話で洗い出した「差別化の源泉」を改めて整理します。
- こちら側が自慢したい苦労・頑張っていること
- 企業・ブランドの差別化要因の源泉
- 中規模企業だから、中程度の高付加価値商品が得意
- 中規模企業だから、仕入れられる素材の幅が広い
- 企業規模の割に大きな設備投資をしたパターン
- すでに圧倒的な名物商品・シリーズがあるパターン
- 地域ブランドがあるパターン
- 独自のシステム・仕組みを採用している
- 既存事業の顧客に、選んだ理由・継続している理由を聞く(レビューを収集する)
- 時流に沿っているか、チェックする
これらが、今後のブランド構築を支える「真似されにくい理由」の候補です。
今のライバルを見るとよくないことが多い
ここで重要な認識の転換をお伝えします。
今見えているライバルは「感覚競合」であって、一度忘れた方が良いのです。
本当に意識すべき競合は2種類だけです。
- 対象競合:同じターゲット顧客にアプローチしている競合(異なるジャンルの場合もある)
- 目標競合:自社の数値目標達成のために、最終的に超えなければならない競合
前回(第八話)で確認した1位候補の洗い出しが、目標競合の把握につながっています。感覚競合に振り回されず、この2種類の競合を軸に思考を整理することが大切です。
出発点の「今すぐ呼べる全国1位」は、どんなキャラクターを打ち出していくか、だ
今回の仮の企画「贈答用・高級乾燥湯葉専門店のECブランド」に当てはめると、次のように言えます。
「贈答用高級乾燥湯葉の味の違いを堪能できるEC」として、全国1位を名乗れるのではないか。
「全国1位」と厳密に計算できなくても構いません。ターゲットにとって、ほぼ唯一の存在に見えれば良いのです。
前回の1位候補の洗い出しで、すでに「高級×乾燥湯葉」どころか「乾燥湯葉専門」のECショップ自体が非常に少ないことがわかっています。この空白地帯こそが、今すぐ1位を名乗れる根拠になります。
「ECでは生湯葉を捨てる」という選択など、もったいなくて、あるいは怖くて、自然に生きていてできるはずがない
「生湯葉を扱わない」という選択は、普通に考えれば機会損失のように感じられます。もったいない、あるいは怖い。そう思うのが自然です。
しかし、その選択こそが差別化の核心です。
乾燥湯葉に特化することで、乾燥湯葉についてはどこよりも詳しくなれます。乾燥湯葉を求める人についても、どこよりも深く理解できるようになります。これが、後天的に獲得できる企業としての強みになるのです。
大手メーカーは「強者」の戦い方をします。乾燥湯葉のシェアを奪われないよう強化する動きを取るでしょう。しかし、大手にとっても乾燥湯葉の守備だけに徹することが最善の道ではありません。他の商品ラインや事業との兼ね合いもあるため、乾燥湯葉での正面対決では、専門特化した側が勝ち得ることになります。
これが、弱者としての戦い方の本質です。
全精力を集中して一点突破を狙う。ECショップでの乾燥湯葉のシェアを丸ごといただく。それが弱者の正しい戦略です。
仮に強者が「部位を破壊されないこと」に躍起になったとすれば、強者は全体で消耗します。強者が本来すべきことは、部位破壊による被害を最小限にしながら、さらなる高みを目指すことです。弱者の戦略が効いてくるのは、弱者が強者の射程圏内(自社の1位に対する2位・3位ポジション)に入ってきたタイミングからです。それまでは、強者も正面から対抗する必然性はほとんどありません。
まとめ
今回のポイントは、弱者の戦い方を徹底することに尽きます。
弱者の戦い方は、強者には真似できません。それにもかかわらず、「とんでもなく奇想天外な理屈」と受け取られることが少なくありません。
多くの企業が実行できずにいる理由のひとつは、今守っている売上やシェアへの執着です。しかし、強者でない企業にとって、今のシェアにしがみつくことに大きな意味はありません。
勇気を持って捨てること。断ること。決めること。そこからしか、変化は起きません。
これはビジネスに限った話ではありません。日常の中でも、やり切れないこと・なんとなく妥協できてしまうことは、どんどん手放した方が良いと感じています。
本当は妥協したくないことなのに、「捨てていないだけのこと」に押し流されて妥協してしまう——そういうことが起きやすくなるからです。
何度場を設けても妥協してしまうことは、本当はやらなくていいことかもしれません。逆に、場を設けさえすれば自然と夢中になれること——それが、あなたが本当に妥協したくないことです。
場をつくるために有効なのが「圧縮集中法」です。1ヶ月、最低でも2週間、そのことだけに集中する期間を設けてみましょう。
究極的に必要なのは、己との対話、そして社内との対話です。
次回予告
食品ブランド育成術シリーズ 第十話:商品(仮)が最強か、調べ尽くせ⑥ 今すぐ呼べる全国一位を携えて、これから誰に届けるか?
5分でできる To Do
- 自分の個性を体現するために、今まで続けてきたことの中で、思い切って「捨てる」ものを1つ決めてみましょう
ブランドの「一点突破」をホームページで表現できていますか?
「今すぐ1位と呼べる軸」が定まったら、それをウェブサイトで力強く伝えることが次のステップです。株式会社ジャッジのホームページ制作サービス「JOSデザイン」では、食品・地方企業・中小企業に特化したサイト制作をご提供しています。ブランドの専門性・強みの言語化からデザイン・実装まで、一貫してサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
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